NT=Nuchal Translucency
妊娠初期に超音波検査で見られる後頚部の“厚み”のことを指します。このNTは、どの正常な胎児にも見られるものです。しかし、通常より厚い場合は胎児のダウン症を含めた染色体異常、多くの疾患、心疾患などのリスクが増えると言われています。妊娠の中期に入ると、厚かったNTは正常化することも多く検査の時期が重要となります。染色体検査で問題がなかった場合は、「妊娠中期の胎児ドック」で胎児の詳細をチェックするとよいでしょう。
一般の妊婦健診で行われる超音波検査は、羊水量、胎盤の位置、さい帯の状態、胎児の血流の検査などで、主に胎児の発育に焦点が当てられています。これ以外の胎児の病気(先天異常)について調べる検査項目は、「出生前診断」と言われ、特別な検査に位置付けられます。その中でも胎児ドックというのは、赤ちゃんのダウン症、18トリソミー、13トリソミーという代表的な染色体異常3つのリスク評価を1回の受診で行うというもので、イギリス胎児医学財団(FMF=Fetal Medicine Foundation)から広まりました。
近年、海外では“Fetus as a Patient(胎児も一人の患者)”として考え、診療を捉える動きがありますが、日本では未だ胎児期の診療を専門とする医療施設は限られているのが現状です。当院では院長の胎児診療の経験を活かし、患者さまへより “高度”で“安全”な出産のご提供を目指しております。
※胎児ドックを受診される前には、カウンセリングを行います。胎児ドックは安心して妊娠期間を過ごすための検査ですが、予期せぬ結果の場合、ご夫婦の心理的負担が大きくなりがちです。あらかじめ検査の意義や方法など、理解を深めていただいた上でご夫婦の希望に最も見合う検査を選択していただいています。
※院長はNT測定ライセンス保持者の中でもNT計測スペシャリストに認定されています。
The Fetal Medicine Foundation
妊娠11~13週頃、赤ちゃんの頭殿長(CRL)が45~84mmの時期に行うとされていて、当院では最も適した妊娠12週から13週前半に行うことをおすすめしています。赤ちゃんのNTと呼ばれる後頚部のむくみの厚さ、鼻骨、静脈管血流、三尖弁血流、心拍数などを計測することで、赤ちゃんのダウン症や18トリソミー、13トリソミーといった染色体異常のリスクを推定します(確定する検査ではありません)。染色体の異常については、中期より検出率が高いといわれています。検査結果は、検査の後すぐに説明いたします。また、この時期に超音波で診断できる疾患も多くあります。つまり”染色体異常のリスク評価”と”形態学的診断”の両方を、同時に行います。
妊娠初期に超音波検査で見られる後頚部の“厚み”のことを指します。このNTは、どの正常な胎児にも見られるものです。しかし、通常より厚い場合は胎児のダウン症を含めた染色体異常、多くの疾患、心疾患などのリスクが増えると言われています。妊娠の中期に入ると、厚かったNTは正常化することも多く検査の時期が重要となります。染色体検査で問題がなかった場合は、「妊娠中期の胎児ドック」で胎児の詳細をチェックするとよいでしょう。
NT厚とリスク | ||
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NT | 染色体異常 | 心奇形(染色体正常) |
3.5〜4.4mm | 20% | 3% |
4.5〜5.4mm | 33% | 6.5% |
5.5〜6.4mm | 50% | 10% |
6.5mm〜 | 65% | 20% |
当院では、初期血清マーカー(PAPP-A, free βhCG)の組み合わせ検査も取り入れています。超音波によるNT計測とこの血清マーカーの組み合わせ検査は、欧米やアジア・アフリカなど世界中で妊娠初期検査のスタンダードとして使われており、OSCARオスカー検査あるいは、コンバインド検査とも呼ばれます。妊娠初期(11~13週)に行う母体血清マーカー(PAPP-A, free βhCG)と正確に計測された赤ちゃんのNTを組み合わせることにより、90%以上で21、18、13トリソミーの検出が可能となります。
当院では、OSCARオスカー検査、コンバインド検査よりさらに精度を上げるために、胎児ドックすべての項目(NT計測のみでなく、鼻骨、静脈管血流、三尖弁血流、心拍数)と血清マーカーを組み合わせます。この検査をコンバインドPLUS検査と呼びます。
結果は、約2日後にでますので、後日外来で結果説明を行います。
初期胎児ドックを受けられて染色体異常のリスクが低いと出た妊婦さまが、コンバインドPLUS検査(胎児ドック+血清マーカー検査)をすることで、さらに安心を得ることができます。
※現在、初期胎児ドックで予約枠が埋まるため、休止しております。
妊娠19~22週が適した時期です。胎児のさまざまな臓器が超音波で観察できるになってきます。主にからだや臓器の形の異常チェックが目的ですが、当院では、へその緒から、胎盤、羊水に至るまで、3D・4D超音波診断装置を駆使して丹念にチェックします。胎児の動きや機能的な問題点もチェック項目としています。
一般的には、産まれた赤ちゃんの3%に何らかの構造異常があると言われています。超音波診断機器の進歩に伴い、それらの多くが出生前に検出でき、関連した兆候も察知することができるようになってきました。万が一、胎児に何らかの異常を認めた場合は、生後の治療につなげるため、最適な分娩施設を選択することも可能となります。
妊娠15~17週頃に行います。妊婦さまの血液中の4つの項目(AFP・ hCG・ uE3・InhibinA)を測定して、胎児が21トリソミー、18トリソミー、開放性神経管障害(脊髄髄膜瘤など)であるリスクを推定する検査です(確定診断する検査ではありません)。この検査では、ダウン症の約86.9%で異常値を示します。
妊娠16~17週頃に行うのが最適です。超音波で胎児やへその緒を観察しながら、細い針を使って羊水を約20ml採取します。羊水中には赤ちゃんの細胞が浮いているためそれを採取します。検査後は30分~1時間安静に過ごしていただき、経過を観察した後にご帰宅となります。
妊娠12~14週に行うのが最適です。超音波で観察しながら、絨毛(胎盤となる組織)のごく一部を採取します。30分~1時間安静に過ごしていただき、経過を観察した後に帰宅となります。絨毛が付着している部位によっては本検査が困難なことがあり、その場合は羊水検査を選択します。
ヒトの体は小さな細胞が集まってできています。その細胞の中には、両親から受け継いだ「染色体」があります。「染色体」とは、遺伝子の入れ物のようなものであり、ヒトは46本の染色体を持っています。1番から22番まで番号がついてあり、それぞれ2本ずつ計44本の常染色体と性別をきめるXXあるいはXYの性染色体の合計46本です。染色体の数、形の異常は、体質のようなもので、それ自体を治療することはできません。妊婦さんの年齢と共に、染色体異常の頻度は増えます。晩婚化に伴い、日本の妊婦さんの4人に1人は35歳以上の“高齢妊娠”です。
お母さまの年齢と染色体異常の赤ちゃんをもつ確率(妊娠12週時) | |||
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年齢 | 21トリソミー | 18トリソミー | 13トリソミー |
20 | 1/1,068 | 1/2,484 | 1/7,826 |
25 | 1/946 | 1/2,200 | 1/6,930 |
30 | 1/626 | 1/1,456 | 1/4,585 |
31 | 1/543 | 1/1,263 | 1/3,980 |
32 | 1/461 | 1/1,072 | 1/3,378 |
33 | 1/383 | 1/891 | 1/2,806 |
34 | 1/312 | 1/725 | 1/2,284 |
35 | 1/249 | 1/580 | 1/1,826 |
36 | 1/196 | 1/456 | 1/1,437 |
37 | 1/152 | 1/354 | 1/1,116 |
38 | 1/117 | 1/272 | 1/858 |
39 | 1/89 | 1/208 | 1/654 |
40 | 1/68 | 1/157 | 1/495 |
41 | 1/51 | 1/118 | 1/373 |
42 | 1/38 | 1/89 | 1/280 |
採取した絨毛や羊水中の細胞で、胎児の染色体を検査するといっても数種類あります。「Gバンド法」では、染色体検査のゴールデンスタンダードです。まず採取したわずかな細胞を培養して数を増やします。その後、染色液で染めて顕微鏡下に観察します。日数がかかりますが、すべての染色体について観察することができます。
「迅速法」は、赤ちゃんの細胞を培養せず、21番、18番、13番、XおよびY染色体の数の変化を、迅速に検出する検査です。この検査で知ることができる染色体の数の変化は、出生前にみられる染色体異常の65~70%を占めています。
胎児ドック、出生前検査に関する料金は次のとおりです。
検査時期 | 検査項目 | 価格(税抜き) | ||
---|---|---|---|---|
非確定的検査 | 妊娠11〜13週 | 初期胎児ドック | 27,000 | |
当院出産予定の方 | 20,000 | |||
初期ママ血清マーカー組み合わせ検査(オスカー検査) | 初期胎児ドックを受けられた方 | +27,000 | ||
初期胎児ドックを受けられない方 | 37,000 | |||
妊娠19〜24週 | 中期胎児ドック (3D/4D超音波) |
27,000 | ||
当院出産予定の方 | 20,000 | |||
妊娠15〜17週 | クアトロ検査 | 18,000 | ||
確定検査 | 妊娠16〜17週 | 羊水検査(迅速検査あり) | 130,000 | |
妊娠11〜13週 | 絨毛検査(迅速検査あり) | 150,000 | ||
検査結果外来 | 3,000 |
胎児ドックを受診の方は、問診票をご記入の上でご来院いただくとスムーズです。
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ご予約は電話で TEL 059-378-8811