胎児ドック高度な胎児診療がご提供できるようになりましたFetal Screening

胎児ドックとは…

一般の妊婦健診で行われる超音波検査は、羊水量、胎盤の位置、さい帯の状態、胎児の血流の検査などで、主に胎児の発育に焦点が当てられています。これ以外の胎児の病気(先天異常)について調べる検査項目は、「出生前診断」と言われ、特別な検査に位置付けられます。その中でも胎児ドックというのは、赤ちゃんのダウン症、18トリソミー、13トリソミーという代表的な染色体異常3つのリスク評価を1回の受診で行うというもので、イギリス胎児医学財団(FMF=Fetal Medicine Foundation)から広まりました。
当院の院長は、そのFMF認定の胎児診断の有資格者であり、人類遺伝学会認定の臨床遺伝専門医でもあります。院長が胎児ドックを開始した2011年当初、日本にはFMFの胎児計測有資格者はわずかでした。また、赤ちゃんの中で最も複雑な臓器と言われている「胎児の心臓」に関しても系統だったトレーニングを受けています。これまで在籍していた愛知県最大の総合周産期母子医療センターでは、期間中4,000件以上の羊水検査に携わり、子宮内カテーテル留置、子宮内人工羊水充填還流療法、胎児輸血、胎児膀胱羊水腔シャント造設術、胎児胸腔穿刺、胎児腹水穿刺など胎児診療を行ってまいりました。

近年、海外では“Fetus as a Patient(胎児も一人の患者)”として考え、診療を捉える動きがありますが、日本では未だ胎児期の診療を専門とする医療施設は限られているのが現状です。当院では院長の胎児診療の経験を活かし、患者さまへより “高度”で“安全”な出産のご提供を目指しております。

※胎児ドックを受診される前には、カウンセリングを行います。胎児ドックは安心して妊娠期間を過ごすための検査ですが、予期せぬ結果の場合、ご夫婦の心理的負担が大きくなりがちです。あらかじめ検査の意義や方法など、理解を深めていただいた上でご夫婦の希望に最も見合う検査を選択していただいています。

検査の種類

非確定的検査

妊娠初期 胎児ドック

妊娠11~13週頃、赤ちゃんの頭殿長(CRL)が45~84mmの時期に行うとされていて、当院では最も適した妊娠12週から13週前半に行うことをおすすめしています。赤ちゃんのNTと呼ばれる後頚部のむくみの厚さ、鼻骨、静脈管血流、三尖弁血流、心拍数などを計測することで、赤ちゃんのダウン症や18トリソミー、13トリソミーといった染色体異常のリスクを推定します(確定診断する検査ではありません)。検査結果は検査後すぐに説明いたします。また、この時期に超音波検査で診断できる疾患も多くあります。

資料 図1
画像:妊娠12週の胎児
妊娠12週の胎児
NT=Nuchal Translucency

妊娠初期に超音波検査で見られる後頚部の“厚み”のことを指します。このNTは、どの正常な胎児にも見られるものです。しかし、通常より厚い場合は胎児のダウン症を含めた染色体異常、多くの疾患、心疾患などのリスクが増えると言われています。妊娠の中期に入ると、厚かったNTは正常化することも多く検査の時期が重要となります。染色体検査で問題がなかった場合は、「妊娠中期の胎児ドック」で胎児の詳細をチェックするとよいでしょう。

NT厚とリスク
NT染色体異常心奇形(染色体正常)
3.5〜4.4mm20%3%
4.5〜5.4mm33%6.5%
5.5〜6.4mm50%10%
6.5mm〜65%20%
鼻骨
鼻骨がないあるいは低形成は、正常染色体児では2%にみられますが、ダウン症児では60~70%、18トリソミー児の50%、13トリソミー児の40%に見られます。
静脈管血流
へその緒が赤ちゃんのお腹へ入って、そこから心臓までの血管の途中の流れを計測します。逆流は、正常染色体児の3%で見られますが、ダウン症児では65%、18トリソミー児の55%、13トリソミー児の55%で見られます。
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静脈管血流:正常
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静脈管血流:逆流
三尖弁血流
赤ちゃんの心臓の右心房から右心室に通る血流を計測します。正常染色体胎児の1%で見られますが、ダウン症児では55%、18トリソミー児の30%、13トリソミー児の30%で見られます。
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三尖弁:正常
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三尖弁:逆流
ムービー:3D・4Dエコー/妊娠12週の胎児
3D・4Dエコー/妊娠12週の胎児
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HD liveシルエット
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光と影を調節
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HDlive
初期ママ血清マーカー(PAPP-A, freeβhCG)組み合わせ検査 (別名:OSCARオスカー検査・コンバインド検査)

当院では、NT計測資格取得者が計測したNT(Nuchal translucency)、初期ママ血清マーカー(PAPP-A, free βhCG)の組み合わせ検査も取り入れています。この組み合わせ検査は、欧米やアジア・アフリカなど世界中で妊娠初期検査のスタンダードとして使われており、OSCARオスカー検査あるいは、コンバインド検査とも呼ばれます。妊娠初期(11~13週)に行う母体血清マーカー(PAPP-A, free βhCG)と正確に計測された赤ちゃんのNTを組み合わせることにより、90%以上で21、18、13トリソミーの検出が可能となります。検査結果は、約2日後にでますので、後日に外来での説明となります。
初期胎児ドックを受けられて染色体異常のリスクが低いと出た妊婦さんが、組み合わせ検査(NT+初期ママ血清マーカー)を併用することで別の角度からリスクを出すことができ、さらに安心を得ることができます。

※初期ドックで高リスクという結果が出た方の場合には、血清マーカー組み合わせ検査をして低リスクと出ても、超音波検査による初期ドックの高リスクが打ち消されるわけではありません。
※血液検査だけではあまり意味がありません。なぜなら、母体血清マーカー(PAPP-A, free βhCG)のみ測定しても染色体異常の検出率は65%程度にしかならないからです。

妊娠中期 胎児ドック(胎児スクリーニング)
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妊娠19~22週が適した時期です。胎児のさまざまな臓器が超音波で観察できるになってきます。主にからだや臓器の形の異常チェックが目的ですが、当院では、へその緒から、胎盤、羊水に至るまで、3D・4D超音波診断装置を駆使して丹念にチェックします。胎児の動きや機能的な問題点もチェック項目としています。
一般的には、産まれた赤ちゃんの3%に何らかの構造異常があると言われています。超音波診断機器の進歩に伴い、それらの多くが出生前に検出でき、関連した兆候も察知することができるようになってきました。万が一、胎児に何らかの異常を認めた場合は、生後の治療につなげるため、最適な分娩施設を選択することも可能となります。

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    胎児の脳 CTスキャンのような画像
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    心臓
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    へその緒:カラー
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    胎盤:カラー
クアトロ検査(中期血清マーカー検査)

妊娠15~17週頃に行います。妊婦さんの血液中の4つの項目(AFP・ hCG・ uE3・InhibinA)を測定して、胎児が21トリソミー、18トリソミー、開放性神経管障害(脊髄髄膜瘤など)であるリスクを推定する検査です(確定診断する検査ではありません)。この検査では、ダウン症の約86.9%で異常値を示します。

非確定的検査のダウン症の検出率

※新型出生前検査(NIPT)は当院では取り扱っておりません。
※染色体異常については、羊水検査あるいは絨毛検査を行わなければ診断ができません。しかし、羊水検査や絨毛検査にはわずかではありますが流産のリスクが伴います。そこでリスク伴わない超音波検査や母体血清マーカー検査は、お腹の赤ちゃんが染色体異常か心配な方が、羊水検査あるいは絨毛検査を受けるかを判断するための材料の1つとなります。

確定的検査

羊水検査

妊娠16~17週頃に行うのが最適です。超音波で胎児やへその緒を観察しながら、細い針を使って羊水を約20ml採取します。羊水中には赤ちゃんの細胞が浮いているためそれを採取します。検査後は30分~1時間安静に過ごしていただき、経過を観察した後にご帰宅となります。

絨毛検査

妊娠12~14週に行うのが最適です。超音波で観察しながら、絨毛(胎盤となる組織)のごく一部を採取します。30分~1時間安静に過ごしていただき、経過を観察した後に帰宅となります。絨毛が付着している部位によっては本検査が困難なことがあり、その場合は羊水検査を選択します。

資料 図4
〈もう少し詳しく〉
染色体とは?

ヒトの体は小さな細胞が集まってできています。その細胞の中には、両親から受け継いだ「染色体」があります。「染色体」とは、遺伝子の入れ物のようなものであり、ヒトは46本の染色体を持っています。1番から22番まで番号がついてあり、それぞれ2本ずつ計44本の常染色体と性別をきめるXXあるいはXYの性染色体の合計46本です。染色体の数、形の異常は、体質のようなもので、それ自体を治療することはできません。妊婦さんの年齢と共に、染色体異常の頻度は増えます。晩婚化に伴い、日本の妊婦さんの4人に1人は35歳以上の“高齢妊娠”です。

染色体核型の見本
染色体核型の見本
お母さんの年齢と染色体異常の赤ちゃんをもつ確率
(妊娠12週時)
年齢21トリソミー18トリソミー13トリソミー
201/1,0681/2,4841/7,826
251/9461/2,2001/6,930
301/6261/1,4561/4,585
311/5431/1,2631/3,980
321/4611/1,0721/3,378
331/3831/8911/2,806
341/3121/7251/2,284
351/2491/5801/1,826
361/1961/4561/1,437
371/1521/3541/1,116
381/1171/2721/858
391/891/2081/654
401/681/1571/495
411/511/1181/373
421/381/891/280
染色体検査「Gバンド法」と「迅速法」

採取した絨毛や羊水中の細胞で、胎児の染色体を検査するといっても数種類あります。「Gバンド法」では、染色体検査のゴールデンスタンダードです。まず採取したわずかな細胞を培養して数を増やします。その後、染色液で染めて顕微鏡下に観察します。日数がかかりますが、すべての染色体について観察することができます。
「迅速法」は、赤ちゃんの細胞を培養せず、21番、18番、13番、XおよびY染色体の数の変化を、迅速に検出する検査です。この検査で知ることができる染色体の数の変化は、出生前にみられる染色体異常の65~70%を占めています。

費用

胎児ドック、出生前検査に関する料金は次のとおりです。

検査時期検査項目価格(税抜き)
非確定的検査 妊娠11〜13週 初期胎児ドック 25,000
当院出産予定の方 20,000
初期ママ血清マーカー組み合わせ検査(オスカー検査) 初期胎児ドックを受けられた方 +27,000
初期胎児ドックを受けられない方 37,000
妊娠19〜24週 中期胎児ドック
(3D/4D超音波)
25,000
当院出産予定の方 20,000
妊娠15〜17週 クアトロ検査 18,000
確定検査 妊娠16〜17週 羊水検査(迅速検査あり) 130,000
妊娠11〜13週 絨毛検査(迅速検査あり) 150,000
検査結果外来 3,000

※胎児ドック、羊水検査、絨毛検査は赤ちゃん一人あたりの料金です。
※検査を行う前のカウンセリングは、検査費用に含まれます。
※クアトロ検査を除く胎児ドックや出生前検査は完全予約制です。お電話にて予約をお取りください。
胎児ドックを受診の方は、問診票をご記入の上でご来院いただくとスムーズです。

[胎児ドック問診票]Download

予約は電話でTEL 059-378-8811